デジタル・ガバメント実行計画(平成30年1月16日 eガバメント閣僚会議決定) pp. 10 - 12
提供者の視点ではなく、利用者の立場に立って、何が必要なのかを考える。 様々な利用者がいる場合には、それぞれの利用者像を想定し、様々な立場から検討する。サービス提供側の職員も重要な利用者として考える。ニーズを把握するだけでなく、分析によって利用者が抱える課題・問題を浮き彫りにし、サービスの向上につなげる。
実態の十分な分析を伴わない思い込みや仮説に基づいてサービスを設計するのではなく、現場では何が起きているのか、事実に基づいて細かな粒度で一つ一つ徹底的に実態を把握し、課題の可視化と因果関係の整理を行った上でサービスの検討に反映する。データに基づく定量的な分析も重要である。
利用者のニーズの分析に当たっては、個々のサービスや手続のみを切り取って検討するのではなく、サービスを受ける必要が生じた時からサービスの提供後まで(エンドツーエンド)の、他の行政機関や民間企業が担うサービスの利用まで含めた利用者の行動全体を一連の流れとして考える。
サービスは様々な関係者によって成り立っている。利用者だけでなく、全ての関係者についてどのような影響が発生するかを分析し、Win-Win を目指す。 また、デジタル機器が使えない人も、IT を活用することによって便益を享受できるような仕組みを考える。
利用者が容易に理解でき、かつ、容易に利用できるようにシンプルに設計する。初めて利用する人や IT に詳しくない人でも、複雑なマニュアルに頼らずとも、自力でサービスを利用して完結できる状態を目指す。また、行政が提供する情報や、利用者に提出や入力を求める情報は、真に必要なものに限定する。
サービスには一貫してデジタル技術を用い、利用者が受ける便益を向上させる。技術の進展に対応するため、IoT や AI 等の新技術の導入についても積極的に検討する。これまでデジタル以外の手段で提供してきたものであっても、業務の見直しによるデジタルへの移行の可能性を検討し、サービスの改善を図る。また、情報セキュリティとプライバシーの確保はサービスの価値を向上させるための手段であることを認識した上で、デジタル技術の活用によってサービスをセキュアに構築する。
サービスの利用コストを低減し、より多くの場面で利用者にサービスを届けるために、既存の民間サービスに融合された形で行政サービスの提供を行うなど、利用者が日常的に多くの接点を持つサービスやプラットフォームとともに行政サービスが提供されるような設計を心掛ける。
サービスを一から自分で作るのではなく、既存の情報システムの再利用やそこで得られたノウハウの活用、クラウド等の民間サービスの利用を検討する。また、サービスによって実現したい状態は、既存の民間サービスで達成できないか等、行政自らがサービスを作る必要性についても検討する。過剰な機能や独自技術の活用を避け、API 連携等によってほかで利用されることを考慮し、共有できるものとするよう心掛ける。
サービスの質を向上させるために、サービス設計時には利用者や関係者を検討に巻き込み、意見を取り入れる。検討経緯や決定理由、サービス開始後の提供状況や品質等の状況について、可能な限り公開する。
試行的にサービスの提供や業務を実施し、利用者や関係者からのフィード バックを踏まえてサービスの見直しを行うなど、何度も確認と改善のプロセスを繰り返しながら品質を向上させる。サービス開始後も、継続的に利用者や関係者からの意見を収集し、常に改善を図る。
困難なプロジェクトであればあるほど、全てを一度に実施しようとしてはならない。まずビジョンを明確にした上で、優先順位や実現可能性を考えて 段階的に実施する。成功や失敗、それによる軌道修正を積み重ねながら一貫性をもって取り組む。
サービスによって利用者が得る便益を第一に考え、実現手段であるシステム化に固執しない。全てを情報システムで実現するのではなく、必要に応じて人手によるサービス等を組み合わせることによって、最良のサービスを利用者に提供することが目的である。
デジタル・ガバメント実行計画(平成30年1月16日 eガバメント閣僚会議決定) pp. 10 - 12